
最近は化物語を見た。かなり独特なアニメと思う。よく考えば、もう十二年前の作品だった。
化物語は名前の通り、怪異の物語だ。阿良々木 暦が解決した怪異に遭った人を順番に、戦場ヶ原 ひたぎ、八九寺 真宵、神原 駿河、千石 撫子、羽川 翼五つの人物を描いた。化物語の名前だけど、今よく思えば、人の物語だった。人の不幸の物語。怪異は自分で存在することなく、特定な相手しか襲わない。そしてどれの怪異も、人が起きたことの結果に過ぎない。怪異は人の不幸で起きられ、人の不幸を示す。怪異の解決は、人の心を優しく慰めることも意味するだろう。
戦場ヶ原は重し蟹と言う怪異にとらわれた。重し蟹の由来は「思いし神」と「思い+しがらみ」二つの説がある。というのが設定だった。戦場ヶ原は重し蟹に会って、悪徳宗教にハマった母親への思いを切り離し自分の重みも失った(ソース:【一覧】化物語シリーズの怪異を比較!順番もわかる!)。
八九寺真宵は「迷い牛」と言う怪異で、地縛霊だった。生前は家に戻られなかった。
神原駿河はレイニー・デビルに遭って、願いの裏面を暴力的に叶う代償に、悪魔と同化し猿の手になってしまった。
千石撫子は蛇切縄という呪いによるの怪異にあわされた。
羽川翼は障り猫に憑かれた。障り猫は、羽川が埋葬した車に轢かれた猫が、恩返しのために羽川に憑かれ、羽川のストレスの根源を解決する怪異だった。
これの全ての怪異は作者の西尾維新さんのオリジナルでした。日本の伝説や妖怪、イギリスの小説から原型とした怪異もあるが、作者さんが上手く改造し、物語と繋げた。題材の広けさ、想像力と物語を自然に繋げる能力は本当にすごいと思います。
新房昭之の独特な絵コンテ(storyboard)スタイルとアニメスタイルを加え、二人のコンビは五感から心まで衝撃を与えた。象徴的なシーン、人物の感情を表現するクロースアップ(近接撮影)、急速流る大量文字のシーン、カメラの変化、光と影の応用、実写のオープニング、文字やシンブルでちょうどいいタイミングで入れたカットシーン…これ全部合わせて独特な感じを与えた。物語の感情とテンポにちょうど良く合わせた音楽は、感覚への刺激をより一層強化した。
怪異以外にも、人物の感情の伏線がとっても素晴らしい。特にひたぎが阿良々木を連れて、森の中で星空を眺めるのパートは、前半のモヤモヤした気分と鮮明な対照になり、心に甘くて美しいの後味が刻まれた。そして遂にエンディングソングの意味を理解した。夏の大三角も、その恋しい気持ちも、より深く感じた。
唯一ちょっと満足してなかったのは、この美し星空を見せた後、物語のオチはなんだか物足りなく感じてしまう。障り猫との対決は、激しい戦いでなく、一瞬で静かに解決した。でもそれもそれで、優しく暖かく感じる。忍野さんが静かに別れを告げたのも、その静かの終幕の一部だった。そして最後は、文化祭の開幕というクライマックスに止めた。昨日見た時はなんだか納得できなかったが、今振り返って思い出せば、それも美しく見える。
2022年正月十三日